21世紀初頭という時代

【21世紀初頭という時代】

キャリアデザインは時代的背景抜きには語れません。30年前の日本であれば、社会的に終身雇用がマジョリティだったわけで、その社会と、個人のキャリアデザインは切り離して考えることはできません。今、例えば「転職を生涯で2回はして、キャリアをつくっていこう」と書いても、妥当かもしれないな、と思う人も多いかも知れませんが、30年前なら「転職なんてとんでもない!!」と思われる方の方が圧倒的に多かったことでしょう。

時代は人間が創るものであると同時に、時代はいつも人間を規定していくものなのです。だから私たちは、今の時代、これからの時代は、どういう時代なのか考えていく必要があります。私たちの時代とはどういう時代なのでしょうか?

【大競争時代:グローバルマーケット、テクノロジーイノベーション】

今既に起きていて、これからのその流れはさらに拡大していくのは確実と思われる二つの潮流があります。
グローバルマーケット
⇒世界で一つの市場。世界中のプレイヤーが一つのマーケット上で戦う
テクノロジーイノベーション
⇒産業機械のみならず、ITの進化で”人の仕事”としてCreativityの要求が高まる
この二つの大きな潮流を無視するわけにはいきません。

【グローバルマーケット】

日本は貿易大国ですが、貿易黒字国なので、日本語というローカル言語で経済圏が閉じていられるところがありますが、これからはさらにそうもいっていられなくなるでしょう。「フラット化する社会」には興味深い事例が数多く紹介されています。例えば、ソフト産業。既にアメリカのIT産業のかなりの部分がインドの優秀で低コストなITエンジニアに移管されていっているとうことです。

これはテクノロジーイノベーションが同時に起きているからですが、アメリカ国内のための仕事を、インドで行なうことにほとんど障害がなくなってきています。物理的な距離の無意味化は急速に進んでいます。英語ができれば、アメリカの会社のためにシステムのプログラムを書くのは、インドでインド人が行なってもほとんど不都合がないわけです。
弁護士なども、企業のグローバル化が進み、国際的なM&A案件などが増えると、アメリカ人だ、イギリス人だ、フランス人だ、ということは関係なく、国際M&Aをどれほど手がけたことがあるか、という実績が重要視されてきます。

国という今や経済的にはほとんど実態をもたない境界は、取り払われつつあります。それが、個人のキャリアデザインにも影響をおよぼすようになるところまで、時代は変化してきています。これからのキャリアは、世界中のライバルを見据えてデザインしていく必要性がより高まっているのです。

【テクノロジーイノベーション】

もう一つ、根源的なインパクトがITの進化によってもたらされつつあります。これからの時代でビジネスをしていく私たちは大袈裟でなく「人間でないとできない仕事は何なのか?」を真剣に考える必要があるでしょう。産業機械が隆盛し、一人の設計者に100人の職人が取って代わられたように、いつ自分の仕事がなくなってしまうか分からない、という健全な危機感があるべきです。

具体的には「この自分の仕事はコンピュータに代替可能か?」と常に問い続ける必要があるのでしょう。実際、Creativityのない、Innovationを伴わない仕事は、次々と”仕事”と呼べなくなってしまうでしょう。

昔は勉強した会計の知識で10年食べることができました。ところが、会計の辞書ソフトができた。自分は一人で10社のお客さんしか相手にできない。だから1社から100万もらっていた。でも、会計ソフトは1000社を相手にできる。ソフトの値段は1万円。自分と同じレベルの知識が、1万円で売られ始めてしまった。同じレベルの仕事ではとても1社から100万円はもらえない。そういうことになってきています。

【21世紀のキャリアデザイン ~継続した創造力の時代】

つまり、とんでもない大競争時代に私たちは生まれてしまった、ということになるでしょう。かつて誰も経験したことのないほどの大競争時代。というのは大袈裟な表現かもしれません。しかし、かつては一部の人しか経験する必要のなかった大競争が多くに強いられる時代。というのは適切な表現ではないでしょうか。この大競争時代でのキャリアデザインは、何を軸に考えるべきなのでしょうか?

もう少し時代の特性について考えて見ましょう。一つは、ライバルが大勢いるということ。それから、過去の知識はすぐに陳腐化・コモディティ化してしまうということ。つまり、数多のライバルと戦う必要があり、継続して新しいものを生み出し続ける必要がある、そうでなければ仕事と呼べなくなってしまう、ということでしょう。
そこでCo-ducationが結論と考えるのは「もう、好きなことをやるしかない」ということです。

【好きこそのものの上手なれ】

競争心によって自分を鼓舞できる人もいますから、そういう人は、大競争時代はむしろ楽しい時代かもしれません。しかし、そうでない人にとって「ライバルに打ち勝ちつづけなければ」というのは相当なストレスになるはずです。このストレスを真っ向から抱えていたら、倒れる人が続出しかねません。

でも、好きで好きで、やっていると夢中になって、没頭して、ライバルの存在なんか忘れてしまう。大変なことがあっても絶対達成したいって、心底自分で思う、そういうものが仕事になってれば、上記のようなストレスは相当軽減されるはずです。

同様に、新しいものを生み出し続けなければ”いけない”というのも、「やばい・・やばい・・・自分の仕事がテクノロジーに侵食されていく!」という恐怖によって仕事をすることには限界があります。これも相当なストレスなはずで、プレッシャーをエンジンにしていたら、こちらも倒れる人続出間違いなしです。

でも好きで好きで、やってると夢中になって、没頭して、もっと、もっと、もっと良く、もっとカッコよく、もっと丁寧に、次へ、次へ!って自分で思ってしまうものが仕事なら、これもまたストレスなんてちっぽけなものになると思うのです。

没頭する対象は、人によって違いますね。プロセスに没頭する人もいれば、ゴールに執着する人もいる。自分に没頭する人もいれば、関係に夢中になる人もいる。だから、こういうものに没頭するべきだ、というのなくてそもそも没頭するのに”べき”なんて言葉はまったくそぐわないですからね。

これからの時代は、「ワクワク」がキャリアの軸になるでしょう。それ以外を軸にしていくことは難しくなっていきます。例えば、【得意なものを軸にする】という考え方もありますが、得意でも夢中になれないものは、続けるのに苦痛を伴うでしょう。「新しいものを生み出し続ける」という要件を満たすために、努力し続けて、苦痛が累積するとやっぱり燃え尽きてしまいます。

2000年も前に孔子が言った「好きなことを仕事にしたらいい。そうしたら一生働かなくてすむ」という言葉の重要性が今、非常に高まってきているのだと思います。

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