個性

【Strength】とは何か

Co-ducationはキャリアを形成していく上で強み:Strengthを重視すべきだと考えています。

後で述べるように、個人のスキルや目的意識、価値観といったものは変化していくものです。だから普遍的な軸とするにはいささか不安定で頼りないところがあります。むしろ目的意識、価値観、スキルといったものは日々更新し続け、進化させ続ける(Becoming)ことが重要でしょう。

しかしStrengthは、脳科学的にその人固有の”絶対”的な武器です。一生、それを相棒に人生を歩んでいくことができる頼りがいのある仲間なのです。詳しくは「さあ才能(じぶん)に目覚めよう」を読んでいただければと思いますが、Strengthの概要についてここで少しご紹介したいと思います。

アメリカのギャラップ社はStrength Finderというアセスメントツールを開発しました。これは人の強みを34に分類し、Webテストを受けると自分の強みのトップ5が分かるというものです。

ギャラップ社の定義するStrengthの特徴は、脳科学的バックグラウンドをもった普遍性にあります。Strengthは20歳頃までにその人固有のものが育まれ、以降それが変わることはほとんどない、とされています。

例えば”競争性”というStrengthがあります。これは、何かの事象を、競争やゲームとして捉えて勝とうとする思考パターンを指します。Strength Finderで競争性が出てくる人は、生まれたときから成人になるまで、何かを競争として捉え努力し勝つ、そういった成功体験を積み重ねてきているというのです。

脳科学ではシナプスの結合が思考パターンを形成すると考えられていますが、成功体験があるとあるパターンのシナプス結合は太く、強くなります。「競争して勝って誉められた」という経験があれば”競争性”という思考パターンのシナプス結合が太く、強くなるわけです。

そして人間の脳は、太く強い思考パターンを多用するようになります。何かがあれば、まず得意の思考パターンで処理しようとするわけです。それで成功体験が積み重ねられればますますそのパターンのシナプス結合は太く強くなっていきます。

そうして他の思考パターンよりも圧倒的にその人の中で鍛え上げられたものがStrengthというわけです。このStrengthは成人以降ほとんど変化することがないと言われています。このStrengthは充実したキャリアを形成していく上でとても重要な役割を果たすとCo-ducationは考えています。

【Strength】の重要性

Strengthのもう一つの見方は「すること自体が喜び」という切り口になると思います。

この「すること自体が喜び」というものが、キャリアを形成していく上でこの上なく大切なものであろうと考えられます。例えば戦略性というStrengthを持っている人は戦略的に考えること自体が喜びでもある可能性が非常に高いわけです。また例えば、活発性というStrengthを持っている人は積極的に行動するということ自体が喜びでもあったりします。

Strengthをフルに活かしたキャリアというものは
仕事する⇒疲れる⇒癒しを求める⇒復活する⇒また仕事する
というスパイラルではなく
仕事する⇒仕事をすること自体が喜びでエネルギーで癒し⇒さらに充実して仕事をする
というスパイラルになっていける可能性がとても高いわけです。

この観点からも、Strengthの重要性は非常に高いと言えるはずです。

【Strengthを活かすキャリア形成】

例えば競争性というStrengthを持ったAさんという人がいたとします。

持ち前の負けん気を活かしてガツガツ営業をしていこう、しかもライバル社がいて、ひっくり返す返されるといった競争の激しい営業が燃える!そう考えて、彼は新卒でビール会社の営業になりました。

入社直後から、次々と競合からシェアを奪い実績を積上げていったAさんは、その働き振りが認められて本社の企画部に栄転することになりました。

しかし・・・企画部に移ったAさんは、社内業務の効率化などのプロジェクトに従事していましたが、営業の時のようなゲームや奪い合いの楽しさがないように思われる企画の仕事に戸惑って・・・

こういった展開はよくあるものでしょう。しかし、Strengthの活かし方の重要な点はここからです。

同じ企画部にはAさんと同期のBさんがいました。Bさんは1年早く企画部に異動してきていて、社内の評価も非常に高いものでした。ライバル意識に火がついたAさんは、Bさんを切磋琢磨していくライバルとして認めたことで、俄然仕事が充実してきたのです。次々と社内の問題に対してプロジェクトチームを立ち上げ・・・

Aさんの競争性というStrengthは、Aさんにとって生涯のパートナー、よき友なわけです。どのような状況や、業務内容になろうと、いつも自分の武器になって助けてくれるのがStrengthだとCo-ducationは考えます。

【競争性というStrengthを持っているから営業をする】という考え方ではなく、【今のこの状況でどうやって自分のStrengthを活かすか?】という問いを自分に持っていることで、充実したキャリアを切り拓いていける可能性はぐんと高まるはずです。

もちろん、Strengthが活かしにくい状況や、業務内容もあるでしょう。Strengthさえあればどんな状況にも万能に対応できるわけではないと思います。しかし何も武器がないよりは、自分のStrengthを支えにすれば、困難な状況をしのぐ、その状況を切り開いていける確率は高まるに違いありません。

【スローキャリア】

慶應大学の高橋俊介教授はその著書「スローキャリア」の中で以下のことを書かれています。

わかりやすい成功のモデルとして、マスコミも若きアントレプレナーを、こぞって好意的に取り上げる傾向にある。いまこの国や多くの企業が、有能な変革のリーダーやアントレプレナーを必要としているのは紛うことのない事実であろう。しかしながら、これからは全員がビジネスリーダーやアントレプレナーをめざさなければならないのかといったらそんなことはないし、その必要もないはずだ。(中略)個人の生きる目的というのは、企業における利益のように共通ではないからだ。他人より多くお金を稼ぎたい、高い地位を得たいという人もいれば、そんなものより家族と一緒の時間にこそ至高の価値を感じるという人だっている。要するに、人がなにを重要だと感じ、極大化したいかというのは自由に選択できる。つまり、人生には勝ち負けなどないということなのである。

「スローキャリア」PHP研究所 高橋俊介著

誰しもがビジネス社会で成功し、財産を蓄えることが、奨励でもされているかのような世の中の風潮に対してあえて、このような視点を高橋俊介氏は提供されたのではないでしょうか。

成功という言葉は非常に魅力的です。成功についてかかれた文章は世の中に山ほど存在しています。多くの人が成功したい、と思っているのではないでしょうか。自分に素直になれば、「成功したい」という気持ちは私にも存在することを認めざるを得ません。

しかし、成功しても幸せでないという状況はよくあるものです。

▼社内での出世競争に勝ち抜いて今の地位を築いた。地位も経済力もある。しかし、心を許せる同僚はなく、仕事ばかりの生活で家族との生活も冷え切ってしまった・・・
▼波に乗って歌手として大ヒットした。けれど自分が本当に歌いたい曲を一度も歌ったことはない。本当に自分が伝えたいのは違う歌なんだ。
▼宝くじがあたって豪邸も買った。車も買った。別荘もある。何不自由ないけれど、何も楽しく感じられない。

なぜ成功しても、幸せでないということが起きるのでしょうか。それは成功と幸せは物差しが全く違うものだからなのだと私は考えています。

少し考えてみましょう。

みんなが成功している
みんなが幸せだ

この二つの文章で違和感があるのはどちらでしょうか?どちらかと言えば「みんなが成功している」という文章の方が違和感があるのではないでしょうか?
成功は相対的なものであり、勝利に近い言葉です。敗者がいるから勝者がいるように、成功していない人がいて初めて成功という存在は成り立ちうるのです。
成功というものは限定的で、他者への優越感によって初めて成り立つものということです。もしくは他者がある成功者に対して劣等感を抱けば、そこに成功というものは存在してしまうのです。本人が幸せかどうかなどおかまいなしに。

自分自身にとって本当に充実したキャリアを築いていこうと思うのなら、自分の本物の物差しを大切にするべきではないでしょうか。借り物の物差しでは、自分を本当に幸せにすることは難しいでしょう。

自分の本物の物差しは何なのか?ということも、考え出したら結構難しいことかもしれません。しかし、借り物の物差しで自分を幸せにするよりは難しくないかもしれません。自分の考えや、価値観、ペースに自分自身が敬意を払って、自分らしく自然に生きていくことも充実したキャリア形成の上で大切なことなってくるのではないでしょうか。

自分らしく自然に生きることと、向上心を持って自分を変化させていくことの関係に関しては「目的意識と主体性」の章で考えてみたいと思います。

【個性について】

Strengthと”成功と幸せ”という視点から個性について考えてみました。やはり充実したキャリア形成に個性は外せない概念であろうと思います。

素晴らしいキャリアを築き上げてきた方にインタビューをすると、時に「自分がやりたいことではなくて、求められることに必死に応えてきた。個性というものの必要性はあまり感じない」と仰る方がいらっしゃいます。

しかしよくよく聞いていくと、様々な場面でその人なりの「困難を乗り越える共通パターン」があったり、周囲から任されやすい得意なことがあったりして、やっぱり個性のない人なんていないのだなといつも思わされます。

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